第二回 barvaの設計をお願いした建築家の天野徹平さんに聞く「バルバの内装」に関するお話

「カウンターがある前提で設計しよう」


(矢野)
カフェをオープンして、お客さんから『この空間心地いいですね。』と言われることがちょいちょいあるんですけど、「そりゃそうだよ。考え抜いて作られるんだもん。」と内心、誇らしい気持ちになっているんです。同時に、相手に言わずともそれを感じてもらえるってすごいなぁって。
徹平くんはどういう風に設計を進めていったんですか?

(天野)
最初のミーティングの時の話なんですが、彩子さんがお店の作りとしては真ん中に大きなカウンターが欲しいという話を最初にされていたんですね。バルバの特徴としてお客さんとのコミュニケーションを大切にしたいと。お客さんと一対一で話せるというのがカウンターだし、豆売りをやる上でもいいと。そして、お客さんの色がカフェの色になっていくように、カフェの空間自体はできるだけシンプルに、でも品はよく、修行先のバッハでやってきたスタイルに近い形でやりたいというお話だったんですね。
バッハの客席もカウンターとテーブル席がある中で、常連だったり、コーヒーマニアがコーヒーの抽出を見ながら時間を過ごしているのを聞いてちょっと特殊な店だなと思ったんです。
そこで僕はまず彩子さんにカウンターがいいのか、大きなテーブルみたいなものを置くのがいいのかという話をしたんですよね。それはなぜかというと、カウンターがあることで、お店側とお客さんが明確に切り分けられてしまうことが起こってしまうことがあるんです。だから、コミュニケーションを大切にしたいという話の中で前提としてお店とお客さんという明確な線引きを持たせた方がいいのか、それとももっとフランクな関係性を築くのがいいのかを聞きたかったんです。
僕自身はカウンター席に一人で座るタイプの人間じゃないんですね。ただ、コーヒーのことは知りたいけれど、なんとなくカウンターに行くのは気がひけるなと、奥の席に座ってしまうというか。だから、テーブルライクな話やすい空間でお客さんと砕けた関係で話せるような方向性ってありなんですかね?という話を彩子さんにしました。
でも、バッハの話を聞いている中でさっき言ったみたいにわざわざカウンターに座っている話だったり、今後やりたいこととしてコーヒー教室だったりコーヒーの面白さを伝えていきたいという話からカウンターの意味みたいなことを聞いて、スタンダードにやはりカウンターがないとはじまらないのかなと感じたんですよね。漠然とですが、揺るがない何かを感じたというか。だからまずはカウンターがある前提で設計をスタートしようと腑に落ちました。

(矢野)
そういう風に考えてもらってたんですね。バルバで慣れ親しんでいるっていうこともあると思うんですけど、わたしの中でやっぱりカウンターというのはすごい大切にしているものだったんで、それを汲んでもらってありがたかったです。
あと、徹平くんはすごくコミュニケーションを大切にして設計してるんだろうなって感じていたんですよね、話をしている中で。

(天野)
焙煎機の話とか、なぜカウンターなのか、なんで高品質なのかとか、どこで稼ぐのかとか、自分の中で気になったこところをなるべく共有して、もやもやを解消した上で設計したいという気持ちが常々自分の中にはあって。独立前はなんだかんだで設計は客商売だなというフラストレーションがいつもあったんですよね。お客さん、お客さんというか、お客さんの前では常におべっかを使ってお客さんを喜ばせて仕事をとってこないといけないような感じのような。でも、本来はコミュニケーションをとる中でお客さん自身も気づいていないところに気づかせることができるかもしれないし、相乗効果みたいなものが生まれるかもしれないのに、お客さんに気分良くしてもらうためにお客さんが言っている考え方に一方的に賛同を示していくのは違うなと常々考えていたんです。独立したからにはどの感じを自分としてはやらずに、お客さんと正面から向き合って話していきたいという思いがあったんですよね。
だから、たたき台の図面を描くのカウンターの話もあったので早かったんですよね。しゃべってしゃべって進めていきたいという中で、彩子さんと話せたのはすごくありがたくって。自分の中ではお客さんと設計の関係性ができた状態で設計ができるのが理想だと考えているんですけど、現実問題としてそれができるかというとすごく難しいんですけどね。依頼されたときから、いつになったらそん彩子さんとの間でそんな関係ができるのかはわからないけど、そうしていきたいという思いはすごくありました。


(矢野)
話を聞いていてすごく面白いので、barvaでトークイベント仕立てにして多くの人に生で聞いてもらってその話をあらためてウェブにアップしませんか?

(天野)
えーーーーー、まさかの展開に(笑)。まぁ、いいですよ。

(矢野)
ということで、天野徹平さんに聞く「バルバの内装」の話は一旦ここで終了とし、発展する形でトークイベントを行います。乞うご期待!

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